安否確認システムのフル活用を支えるユーザメンテナンスの重要性
2025/04/23.

企業のリスク管理に欠かせない安否確認システム。しかし、システムを導入するだけでは、「災害が発生しても安心」というわけではありません。日常的なユーザメンテナンスが、緊急時の迅速な対応を支える鍵となります。本コラムでは、安否確認システムのユーザメンテナンスに焦点を当て、具体例として当社の安否確認システム「安否コール」の「CSVコンバータ」機能と、「給与奉行クラウド」や「SmartHR」との連携機能について、そのメリットを詳しくご紹介します。
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安否確認システムの重要性とユーザメンテナンスの役割

近年、日本では地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発しており、企業や自治体では従業員や職員、住民の安否を迅速に確認し、安全確保や業務継続を図ることが求められています。特に企業ではBCP(事業継続計画)対策として安否確認システムの重要性がますます高まり、導入するケースが増えてきました。
安否確認システムは、緊急時に従業員へ一斉通知を行い、安否情報を即座に収集できるシステムです。
しかし、どんなに優れたシステムでも、日常的なユーザメンテナンスがしっかりと行われなければ、いざというときに十分に機能しません。
本章では、安否確認システムの重要性と、安否確認システムを最大限活用するために必要なユーザメンテナンスの役割について解説します。
安否確認システムが求められる理由
安否確認システムの最大の目的は、緊急時に従業員や関係者の安否情報を迅速に把握し、適切な対応を取ることです。緊急事態が発生した際、従業員の安否を確認する手段として電話やメールを利用する方法もありますが、特に大規模災害時には回線が混雑し、スムーズな連絡が困難になることが多くあります。
このような状況を回避するために、多くの企業が安否確認システムを導入しています。安否確認システムを活用すれば、安否確認におけるユーザ/管理者双方の負担を軽減しつつ、スピーディな情報収集が可能になります。
ユーザメンテナンスの重要性
安否確認システムが導入されていても登録情報が古いままでは、せっかく導入したシステムが緊急時に十分に機能しない可能性があります。
例えば以下のような問題の発生が考えられます。
- 緊急時に連絡が届かない
電話番号やメールアドレスなどが未更新の場合、安否確認システムからの通知がその従業員に届かず、安否を迅速に確認できない - 退職者に誤通知が届く
在職していない人に安否確認が送信され、管理者が不要な対応を迫られる。これにより、本当に安否確認が必要な従業員の対応が遅れる可能性がある。 - 管理者の作業負担が増大する
緊急時に管理者が手作業で最新の情報を照合しながら対応する必要がある。このため迅速な安否確認ができず、管理者の業務負担も増加する。また、連絡が取れない従業員の発生により、企業としての対応が遅れてしまう。 - 企業の信頼性低下
企業のBCPでは従業員の安全確認は最優先事項だが、安否確認システムの情報が古いままでは適切な対応が取れず、BCPの実効性が低下する。また、企業は従業員の安全を確保する「安全配慮義務」があるため、適切な安否確認が行われなかった場合、特に労働災害が発生した場合は法的に企業の管理責任を厳しく問われるリスクがある。 - システムが形骸化
従業員の間で「このシステムは機能していない」と認識され、安否確認システム自体の信用が損なわれ、従業員が回答しなくなる可能性がある。その結果、企業全体で安否確認の文化が定着せず、緊急時の対応が機能しなくなる。また、災害発生時に慌てて手作業で更新や修正を行うことにより、対応ミスが発生する可能性が高くなり、従業員の安全確保に時間がかかって場合によっては対応が間に合わなくなるリスクもある。
こうしたリスクを回避するために、日常的に安否確認システムのユーザ情報をメンテナンスすることは重要な作業です。
ユーザメンテナンスを効率化するポイント

これまで見てきたように、安否確認システムで災害時の迅速な安否確認を可能にするためには日々のユーザメンテナンスが欠かせませんが、社員の異動や新規入社・退職に伴うユーザ管理が煩雑になると、担当者の負担が増えてしまいます。そこで、本章では、ユーザメンテナンスを効率的に行うためのポイントを解説し、管理負担を減らしながら安否確認システムを最大限活用する方法をご紹介します。
基幹システムや人事・給与システムと連携して情報を自動更新する
安否確認システムのユーザメンテナンスを効率化する上で、最も効果的なのが基幹システムや人事・給与システムとのデータ連携です。多くの企業では従業員の情報をこれらのシステムで管理しており、安否確認システムを連携させることで最新のユーザ情報を手間なく反映することができる他、管理者の負担が大幅に軽減され情報の漏れやミスも防げます。
- 連携のメリット
- 人事異動や新入社員の情報を自動、もしくは簡単な操作で更新可能
- 退職者のアカウントを自動で削除し、管理の手間を削減
- 複数システム間でデータを統一し、情報の正確性を確保
UI/UXが最適化されたシステムを利用し、管理作業を簡単にする
ユーザメンテナンスの効率化には、利用しているシステムのUI/UX(ユーザインターフェース/ユーザエクスペリエンス)が最適化されていることも重要なポイントです。システムの管理画面が使いにくかったり、複雑な操作が必要だったりすると、メンテナンスに余計な時間がかかってしまいます。
例えば、安否確認システム「安否コール」では、管理者がシンプルな操作でユーザ情報を更新できるUIを提供しており、ユーザ情報を直感的な操作で管理できるため、誰でも簡単にメンテナンスが可能です。
- UI/UXが最適化されたシステム利用によるメリット
- 直感的な管理画面で、担当者の負担を軽減
- 簡単な操作で情報を更新できるため、ミスを防ぐ
- スマートフォン対応で、どこでも管理が可能
管理者がスムーズに操作できるシステムを選ぶことで、日常的なメンテナンス作業を効率化できます。
定期的な情報更新ルールを設ける
システム連携やUI/UXの最適化だけでは、ユーザメンテナンスを完全にすることはできません。
例えば、以下のようなルールを設定して運用することで、安否確認システムのユーザ情報を常に最新の状態に保つことができます。
- 効果的な情報更新ルールの例
- 四半期ごとにユーザ情報のチェックを実施
- 異動・退職のタイミングで担当者が更新を確認
- 安否確認訓練時に、全従業員に登録情報の確認を促す
特に、安否確認訓練と併せてユーザ情報の更新を促すと、従業員の意識も高まり、情報が適切に管理されるようになります。
システム連携の実例:「安否コール」の「CSVコンバータ」機能

安否確認システムのユーザメンテナンスを効率化する実例として、「安否コール」の「CSVコンバータ」機能を使った基幹システムとの連携について解説します。
「安否コール」とは
「安否コール」は、株式会社アドテクニカが提供するクラウド型安否確認システムです。災害や緊急時に、従業員の安全を迅速に確認できるツールとして、多くの企業で導入されています。
「安否コール」の主な特徴は以下の通りです。
- 一斉自動送信
安否確認のメッセージを、事前設定された従業員に自動で送信 - 簡単な安否回答
従業員はスマートフォンやPCから簡単に回答可能 - リアルタイム管理
管理者は安否情報をリアルタイムで確認し、状況に応じた対応が可能 - ID/パスワード不要
緊急時に入力が面倒だったり、忘れたりしがちなID/パスワードを使わずに安否確認を回答可能
「CSVコンバータ」機能
「安否コール」のエキスパートEditionには「CSVコンバータ」機能が搭載されています。この機能は特定のシステムやサービスに依存せず、企業が利用している基幹システムからCSV形式で出力された人事データを取り込む機能です。
取り込むCSVファイルのフォーマットと「安否コール」のユーザ情報の項目の紐づけを安否コールの管理画面で予め定義しておく必要がありますが、一度定義しておけば以後はこれを利用していつでも最新の人事データを「安否コール」へ取り込むことができます。
ただし、反映できるデータは新規追加と更新のみで、退職などによる従業員データの削除には対応していない点に注意が必要です。
「CSVコンバータ」機能の開発の経緯
2016年、メーカーランキング世界10位に入る大手製薬メーカーが関西の防災エキスポに来場し、出展していた当社のブースを訪れました。目的は2018年4月以降に安否確認システムを切り替えるための業者選定のためとのことでした。
同社で比較トライアルを行い、担当役員を含めた総勢10名での検証の結果、満場一致で「安否コール」が評価されて導入が決定しました。
「安否コール」の利用を開始するにあたり、様々な改善要望をいただきカスタマイズを行いましたが、その中にあったのが「CSVコンバータ」機能でした。「安否コール」への切り替え前に利用していた安否確認システムでは、人事システムのデータを自動的に安否確認システム側のデータベースへ書き換える機能がありました。
そこで、さらに使いやすくメンテナンス効率の高い運用方法はないかと模索し、「安否コール」に実装した機能が「CSVコンバータ」機能です。
「安否コール」の「CSVコンバータ」機能を使った基幹システムとの連携のメリット
「安否コール」の「CSVコンバータ」機能を活用すれば以下のメリットがあります。
- 基幹システムに登録されている最新の従業員情報を反映
基幹システムに登録されている従業員の最新情報が、「安否コール」へ反映されます。手作業で一件ずつ従業員のデータを追加/更新する必要が不要になり、管理者の負担が軽減されます。
「安否コール」と「給与奉行クラウド」の連携

次に「安否コール」と「給与奉行クラウド」の連携機能を解説します。
「給与奉行クラウド」とは
「給与奉行クラウド」は、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供しているクラウドベースの給与計算システムです。導入企業数は5,000社以上、利用者数は120万人以上に達し、その正確性と効率性により、多くの企業に支持されています。
「給与奉行クラウド」の主な特徴は以下の通りです。
- 給与や賞与、社会保険、労働保険、年末調整などの処理をデジタル化できる
- 制度改正や税率・保険料率の改定時にも常に正しい給与計算を自動化できる
- 自動バックアップでデータ保全できる
- 企業ごとに異なる給与体系や特別な手当にも対応できる
- 社会保険労務士や税理士などの専門家と連携できる
「安否コール」と「給与奉行クラウド」の連携機能
「安否コール」のプロEditionには「給与奉行クラウド」との連携機能があります。この連携機能は以下のような特徴があります。
- ユーザ情報をリアルタイムで同期
「給与奉行クラウド」に登録されている従業員の最新情報が、自動で「安否コール」へ反映されます。手作業での更新が不要になり、管理者の負担が大幅に軽減されます。
同期されるデータは以下の情報です。- 氏名・所属部署・連絡先(電話番号・メールアドレス)
- 入社・退職・異動の情報
「CSVコンバータ機能」では事前にCSVファイルのフォーマットを定義する手間がかかりますが、「給与奉行クラウド」連携機能では不要ですので管理者の手間がその分、軽減されます。また、「CSVコンバータ機能」は退職等によるユーザ情報の削除には対応しておりませんが、「給与奉行クラウド」連携機能では対応している点も異なります。
これにより、入社、異動や退職による登録情報のズレを防ぎ、常に最新のユーザ情報を安否確認システムで活用できます。
- 組織(グループ)情報もリアルタイムで同期
組織情報も自動的に「安否コール」と同期されます。これにより「安否コール」のグループ情報もユーザ情報と同様に常に最新に保たれます。
企業にとってのメリット
- ユーザメンテナンスの負担軽減
ユーザ情報や組織(グループ)情報の管理が自動化されるため、管理者が手動で「安否コール」のユーザ情報/グループ情報を更新する必要がなくなります。特に従業員数が多い企業では、メンテナンスの手間を大幅に削減できるのが大きなメリットです。 - 安否確認の精度向上
最新のユーザ情報が自動的に「安否コール」に反映されるため、正確な安否確認が可能になります。異動や退職による情報のズレを防ぐことで、緊急時の対応ミスを最小限に抑えられます。 - 業務の効率化とBCP対策の強化
「給与奉行クラウド」との連携によって、企業全体の業務効率が向上します。ユーザ情報の管理が簡素化されることで、管理者は本来の業務に集中でき、BCP対策の強化にもつながります。
安否確認の効率化と正確性向上を実現
「安否コール」と「給与奉行クラウド」の連携は、企業の安否確認システムをより効果的に運用するための強力なサポートとなります。企業の危機管理対策として、この連携を積極的に活用し、従業員の安全確保と業務継続のための環境を整えていきましょう。
「安否コール」×「SmartHR」連携で人事管理を強化

「給与奉行クラウド」の他に「安否コール」と連携可能な人事管理システムが「SmartHR」です。
本章では、「安否コール」と「SmartHR」の連携機能について解説します。
「SmartHR」とは
「SmartHR」は人事・労務業務の効率化を目的としたクラウド型の管理システムです。
「SmartHR」の特徴は以下の通りです。
- 従業員情報の管理・更新が容易で、社員名簿などのデータとして蓄積できる
- 入社手続きや年末調整などの労務手続きをペーパーレスで完結できる
- 勤怠管理や給与計算システムなど、さまざまな機能と連携できる
これらの特徴を備えた「SmartHR」と「安否コール」が連携することで、よりスムーズで効率的な安否確認の運用が可能になります。
「安否コール」と「SmartHR」の連携機能
「安否コール」の「SmartHR」連携機能は「給与奉行クラウド」と同様にプロEditionで利用できる機能です。
「安否コール」と「SmartHR」を連携すると、数クリックの簡単操作でユーザ情報を最新のデータに更新することが可能です。
- ユーザ情報を数クリックの簡単操作で最新化
「SmartHR」に登録されたユーザ情報(氏名、所属部署、連絡先など)が、「安否コール」にわずか数クリックで取り込まれます。
企業にとってのメリット
- ユーザメンテナンスの負担を大幅に削減
簡単操作でのユーザ情報取込により、従業員情報のメンテナンスがシームレスとなり管理者の業務の時間短縮や業務負荷を減らすだけでなくミスも軽減します。
人事管理と安否確認の連携で効率化を実現
「SmartHR」との連携により、企業は「安否コール」の運用をよりスムーズに行い、人事管理を効率化することが可能になります。
企業の人事担当者や管理者の負担を軽減しつつ、従業員の安全をしっかりと守るために、「SmartHR」と「安否コール」の連携を活用し、より効率的な管理体制を整えていきましょう。
安否確認システムを活用し、確実な安全対策を

本コラムでは、安否確認システムの重要性やユーザメンテナンスの面からでの運用方法について解説してきました。最後に、企業がシステムを最大限活用するためのポイントを再確認しましょう。
- 最新の従業員情報を維持し、ユーザメンテナンスを徹底する
- 定期的な訓練・テストを行い、全員が確実に利用できるようにする
- 基幹システムや人事・給与システムとデータ連携ができる安否確認システムを導入し、情報の管理を効率化する
- UI/UXを意識し、従業員が直感的に操作できる環境を整える
これらを実践することで、災害時にも確実に従業員の安全を確認し、企業のBCP対策を強化することができます。
安否確認システムは、「導入すること」がゴールではなく、「適切に運用し、活用し続けること」が真の目的です。企業の安全対策を万全にするために、ぜひ継続的な運用と改善を進めていきましょう!

「世界中のコミュニケーションをクラウドで最適に」することをミッションとして掲げ、2000社以上の法人向けのデジタルコミュニケーションとデジタルマーケティング領域のクラウドサービスの開発提供を行う防災先進県静岡の企業。1977年創業後、インターネット黎明期の1998年にドメイン取得し中堅大手企業向けにインターネットビジネスを拡大。”人と人とのコミュニケーションをデザインする”ためのテクノロジーを通じて、安心安全で快適な『心地良い』ソリューションを提供している。
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