アドテクニカ・BCPニュースレター 【線状降水帯の「空振り情報」と「見逃し情報」】
2023/06/16.
今回は、梅雨の時期に入った今、年々、高まっている頻度で発生する線状降水帯の情報についてお話しします。
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「線状降水帯」とは?
線状降水帯という言葉の他に線状降雨帯という言葉もありますが、その意味はほぼ同じです。
線状降雨帯は、1970年代から使われ始めているそうですが、気象庁では現在、線状降水帯に統一しているそうです。
その定義としては
「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域を線状降水帯といいます。」
という長い解説付きの意味の定義を示しています(出典:「線状降水帯に関する各種情報」気象庁)。
線状降水帯発生の予報的中率と見逃し率
最近では、昨年の令和4年台風15号がもたらした線状降雨帯による静岡市の大洪水被害が記憶に新しいところです。
さらに今年、6月2日の令和5年台風2号がもたらした静岡県西部地区の線状降雨帯も大きな被害をもたらしました。
また、昭和49年に静岡市を襲った七夕豪雨も当時の静岡気象台の記録を見ても、夜半に発生した線状降水帯によるものでした。
昨年、11月17日の静岡新聞に線状降雨帯の興味深い記事が載りました。
2022年の出水期(6月から10月)に全国で発生した21件の線状降水帯に対して、気象台が6時間前までに出す線状降水帯の予報結果についての記事です。
線状降水帯発生の予報を出してその通り線状降水帯の降雨になった的中率は23.1%であり、発生しなかった率(空振り率)は76.9%であったとのことです。
一方、線状降水帯の予報を出さないのに線状降水帯の降雨となった率(見逃し率)は72.7%という割合です。昨年の令和4年台風15号の線状降水帯も6時間前には予報は出せなかった「見逃し」だったということです。
空振りでも・・・
自然災害リスクに備えるにはできるだけ早い情報が必要ですが、これだけ科学技術が発達した現代においても、自然災害のリスクを正確に捉えることは難しいということが分かる記事でした。
元プロ野球の野村克也名監督は
「空振りは許されるが見逃しは許されない」
という名言を残しています。
例え空振りであっても災害リスクの情報については、「その情報を受けたら早め早めの行動が必要である」ことに通じます。
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IST経営コンサルティング
石井 洋之
静岡県BCPコンサルティング協同組合 理事
静岡県立大学客員共同研究員・静岡大学講師
中小企業診断士
博士(学術)
「世界中のコミュニケーションをクラウドで最適に」することをミッションとして掲げ、2000社以上の法人向けのデジタルコミュニケーションとデジタルマーケティング領域のクラウドサービスの開発提供を行う防災先進県静岡の企業。1977年創業後、インターネット黎明期の1998年にドメイン取得し中堅大手企業向けにインターネットビジネスを拡大。”人と人とのコミュニケーションをデザインする”ためのテクノロジーを通じて、安心安全で快適な『心地良い』ソリューションを提供している。
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