【安否確認システムを比較】オクレンジャーと安否コール
2021/09/02.
画像出典:オクレンジャー公式
緊急時の連絡網として事業継続に欠かせない安否確認システムは、突然の災害時で混乱した中でも情報共有に必要な機能が確実に操作できるか、いざというときに備えて普段から使っておけるかがポイントです。
導入前にしっかり確認し、自社に最適なサービスを選びましょう。
本記事では、株式会社パスカルの「オクレンジャー」と、アドテクニカの「安否コール」の特徴を比較し、企業が導入する際に気をつけたいポイントについて解説します。
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オクレンジャーの特徴
株式会社パスカルが提供する緊急連絡網・安否確認システム「オクレンジャー」は、2006年から運用が開始され、東日本大震災が発生した2011年3月11日に、安否確認サービスとして日本初のスマートフォンアプリの特許を取得しました。
専用アプリは直感的に操作でき、企業や病院、官公庁、学校、サークルなど幅広く利用されています。
災害時の緊急連絡網として利用できるだけでなく、災害発生時に必要となるメンタルヘルスケアのひとつとして、ストレスチェックを行う機能がオプションとして用意されており、平常時にも利用することができます。
オクレンジャーのメリット
オクレンジャーの特長は、医療や福祉施設を多く含む導入実績の多さと、ストレスチェック機能をはじめとする追加機能の豊富さ、品質保証制度による確実な運用の仕組みが挙げられます。
900以上の団体で導入された実績
オクレンジャーは、病院・医師会、福祉施設、放送局、運輸機関、金融機関、自治体といった団体が200以上、不動産、建設、機械、電気・電子、自動車、食品その他メーカー、小売流通などの企業が700以上と、幅広く利用されています。
オクレンジャーは、スマートフォンアプリによる登録など環境設定が多様です。
1つのIDあたりの端末台数に制限がないなど、利用にあたっての上限が設定されていない機能もあります。
オプション機能も多く、組織の状況に応じた多様な使い方ができることもあり、このように規模や業態を問わず多様な企業・団体に利用されているのです。
豊富な機能
画像出典:ストレスチェック機能│オクレンジャー公式
災害発生時の安否確認や情報共有に必要な機能はたいてい追加することができ、自分好みにカスタマイズできるシステムといえます。
例えば次のような機能があります。
・手動配信機能:自由なタイミングでメッセージが出せる。テンプレート機能や日時指定の配信予約機能もある
・地震/気象自動配信機能:あらかじめ条件を指定しておくと気象庁からの情報発信と連動して自動でメッセージを発信する(気象の自動配信はオプション)
・未読/既読の判定機能:ユーザーがメッセージを閲覧したかどうかを確認できる。未読に絞ってメッセージの再送信もできる
・自動集計/報告機能:回答状況を自動集計したり、集計結果を引用したメッセージを自動で作成したりできる
・掲示板機能:ユーザーが自由に投稿できる。写真などのデータも添付可能
・GPS連携機能:携帯端末のGPSと連動し、回答結果に位置情報をつけることができる
・家族の安否確認機能:家族の間で伝言板として利用できる(オプション)
・管理者アプリ:操作性を高めたメッセージ送信専用の管理アプリ(オプション)
特徴的なオプション機能に、ストレスチェック機能があります。
人事データと連動し、厚生労働省が推奨する57項目の職業性ストレス調査票を配信できるため、平常時にも活用可能です。
ストレスチェックシステムの管理担当者と安否確認システムの管理担当者とは個別に設定できるため、情報管理の観点からも安心して利用できます。
品質保証制度あり
画像出典:オクレンジャー サービス品質保証制度│オクレンジャー公式
オクレンジャーは、国内1箇所、海外2箇所にサーバを設置し、大規模災害が発生した際には海外への切り替えを行って継続的な稼働を確保しています。
安定した運用を担保するため、サービス品質保証制度(SLA:Service Level Agreement)を採用。
SLAは、オクレンジャーの緊急連絡網・安否確認システムの月間稼働率が99.9%を下回った場合に、次の契約の更新時に更新期間の利用料を減額するというもので、2014年から提供を開始しています。
オクレンジャーのデメリット
オクレンジャーは、機能が多彩である一方、その多くは有料オプションとなっています。例えば以下の機能はすべて有料オプションです。
・気象の自動配信
・GPS連携
・家族の安否確認
・管理者アプリ
・ストレスチェック
プランとしてはスタンダードとエントリーの2種類ですが、オプション機能や利用人数によって料金が異なるため、全体の費用感が明示されておらず、直接問い合わせて見積りをつくってもらう必要があります。また、お試し期間は2週間と短めです。
気をつけたいのは、メッセージの配信と記録保存です。オクレンジャーのメッセージは、エントリープランだと年36回までに制限されています。
メッセージの掲載には期間の期限があり、最大で999日まで延ばせるものの、初期設定はわずか30日。
気づかずに利用していると被害状況や災害対応などの履歴が消えてしまう恐れがあります。掲載期限の初期設定を変更する場合、ヘルプデスクに直接申し込む必要があります。
もうひとつ、注意しておきたいのが機種変更時の問題です。
1つのIDでさまざまな端末に登録できる一方、メールアドレスや機種を変更するときにはIDと認証キーによる再登録が必要になります。
セキュリティ上、登録のメールアドレスなどは管理者側には通知されていません。
また、IDと認証キーの発行はオクレンジャー側ではなく運用団体側で行われており、IDまたは認証キーがわからなくなった場合は、ユーザーがヘルプデスクへ問い合わせても調べることができません。
団体管理者へ問い合わせたり再発行を依頼したりする必要があり、問い合わせ対応が煩雑になる可能性があります。
オクレンジャーと比較した安否コールの強み・弱み
ここからは、オクレンジャーと、アドテクニカの「安否コール」を比較し、安否確認機能にどのような違いがあるのかをみていきましょう。
安否コールの強み
「安否コール」は、使い手の気持ちに立った標準機能の設定、グッドデザイン賞を受賞するほどの操作性、わかりやすい料金設定と長いトライアル期間で導入の検討がしやすいといった特長をもつシステムです。
オプションが少なく標準搭載機能が豊富
安否コールでは、災害時の事業継続に欠かすことのできない、一斉連絡と回答がオプション契約を必要としない標準機能として搭載されています。
気象庁からの電文を自動受信・自動送信する機能では、地震・津波だけでなく、気象災害時の特別警報についても標準機能となっています。
管理者がメンバーを指定して手動で行う配信機能にも回数制限がなく、安否確認で無事と回答したメンバーだけに次の指示を伝えたり、部署ごとに必要な指示を出したりと、きめ細かな設定で状況に応じた利用が可能です。
家族の安否確認機能も標準で搭載されています。
災害対応にあたる人たちにとって、家族が無事でいるか、いまどこにいるのかはとても心配な問題で、家族の状況がわからないと出社する率が大きく下がってしまうため重要な機能です。
1ユーザーにつき7人まで家族を登録でき、遠く離れた高齢の両親などの状況も確認することが可能。安心して災害対応に専念できます。
高い操作性と良好な使用感
多様な端末へ対応した高機能アプリの弱点として、操作が煩雑でわかりにくくなりがちな点や、端末OSの更新時に不具合が起こりやすい点などが挙げられます。
災害時に特別に利用しようと思っていても、普段から使いこなしているものしか結局のところ役に立たなかったという声もよく聞きます。機能も重要ですが、それ以上に使い勝手が大切です。
安否コールは、総務省などが後援する「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2019」の「ASP・SaaS部門 社会業界特化系分野」においてグランプリを受賞。
さらに、グッドデザイン賞2020も受賞しており、使い勝手の評価が高いシステムです。
メールの一斉送信や掲示板、アンケート機能、家族間での連絡など、平常時の連絡や情報共有に使って慣れておくことで、突然の災害時にもいち早く体制を整え、行動に移すことができるのです。
多彩な料金プランで導入の検討がしやすい
安否コールでは、どんな規模の組織でも必要な初動対応をとれるよう、モデルプランをこまかく設定し、運用コストも明確にしています。
最小構成であれば月額わずか5,000円、初期設定費用も80,000円と、格安の運用コストで多様な機能を使うことができます。
家族の情報共有や掲示板機能なども全プラン標準装備されているため、余分なコストを気にする必要がありません。
対象 |
プラン名 |
月額費用 |
初期設定費用 |
小規模企業向け (~50名) |
ミニマム |
¥5,000~ |
¥80,000 |
ミニマム+ |
¥8,000~ |
||
中規模企業向け (100名~) |
スタート |
¥15,000~ |
¥105,000 |
ノーマル |
¥18,000~ |
||
ビジネス |
¥21,500~ |
||
大規模企業向け (システム連携) |
プロ |
¥30,000~ |
|
エキスパート |
¥40,000~ |
使い勝手を検証する無料トライアルの期間も1カ月と長いため、実際に自分たちの組織で使える機能なのか、じっくり検討することができます。
安否確認システムを導入すると、災害があってもなくても毎月運用コストがかかります。普段から効果的な活用ができるものを納得いくまで選びましょう。
安否コールの弱み
オクレンジャーはベースのシステムが2種類のみ、有料オプションで機能を積み上げる方式となっているため、カスタマイズ性に優れています。
このため、自力で機能を絞り込み、導入の検討をすることができる組織にとっては無駄が省けてよいかもしれません。
安否コールは、災害対応に必要となる機能はどのプランでも標準搭載となります。
実際に災害に遭遇した経験がないとどんな機能が役立つのかわからないことも多く、導入時に不要と思っていても実は重要な機能だったということも少なくないからです。
東日本大震災などの巨大災害で運用してきた経験から、指示連絡や情報共有に関する重要な機能を厳選し、ご提案しています。
また、オクレンジャーのオプション機能であるストレスチェック機能は、人事データと連動させる必要があることや、災害時の場合、最も重要な初動時にはすぐに運用することにならないため、安否コールでは扱っていません。
オクレンジャーと安否コールはこんな企業におすすめ
オクレンジャーと「安否コール」では、それぞれ得意とする機能が異なります。
自社にとって必要な機能かをよく検討し、適切に選びましょう。
オクレンジャーはこんな企業におすすめ
オクレンジャーは、次のような要望をもつ企業におすすめです。
・気象災害時の連絡や家族の安否確認などはすでに運用している別の手段があるため、標準仕様でなくてよい
・テンプレートフォームや既読/未読機能など、いろいろな機能を組み合わせてカスタマイズしたい。
・人事データと連動させてストレスチェックまで行いたい
安否コールはこんな企業におすすめ
安否コールは、次のような要望をもつ企業におすすめです。
・平常時から使える情報連絡・情報共有のシステムを探している
・使い勝手の良いアプリがよい
・家族の安否確認は標準で装備したい
・比較しやすいプランや料金設定で、じっくり検討したい
オクレンジャーと安否コールの比較まとめ
安否確認は災害発生直後に一斉送信したら終わりというわけではありません。
むしろ重要なのはそのあとで、災害時でインフラなどが制限され混乱する中でも的確な状況判断や行動の指示が行えるよう、情報収集と共有をすばやく確実にすることが求められます。
安否確認サービスの比較をする際は、安否確認後の災害対応に効果的な連絡手段や、従業員同士だけでなく家族間の連絡も含め、いざというときに操作に慣れておける普段使いのよさなどを意識するとよいでしょう。
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