【安否確認システムを比較】「ANPIC」と「安否コール」
2021/09/02.
安否確認システムは災害直後の場面で活躍します。
被災の際に混乱した中でも確実に機能するか、的確に操作できるかをチェックし、自社に最適なサービスを選びましょう。
本記事では、株式会社アバンセシステムの「ANPIC(アンピック)」とアドテクニカの「安否コール」の機能と特徴を比較しながら、企業が導入する際に知っておきたいポイントについて解説します。
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ANPICの特徴
ANPICは、静岡大学・静岡県立大学と株式会社アバンセシステムが共同で開発したシステムです。
2011年に発生した東日本大震災時に運用していたシステムをもとに開発され、翌2012年にリリース。
その後の熊本地震や台風などでも問題なく稼働しており、大規模災害発生時にも安心できるシステムといえます。
産学共同で開発された経緯もあって、利用しやすい料金設定となっており、全国の大学など教育機関でも多く採用されています。
安否確認の配信では、メールのほかアプリやLINEとの連携ができ、災害時の受信者の状況に応じた回答方法が用意されています。
データは米国のAmazonサーバで管理されており、通信経路も冗長化するなど機能性も確保。
日本で大きな地震が発生した場合の影響も少ないといえるでしょう。
ANPICのメリット
ANPICの特長としては、LINE連携による回答率アップのしくみと、教育機関との共同開発による安心の導入実績、比較的安価な利用料金が挙げられます。
LINE連携が可能
画像出典:機能・価格│ANPIC公式
従来の安否確認システムは、安否確認の連絡を、メールで送るものが中心でした。
しかし近年はスマートフォンの普及により、連絡網にメールではなくLINEなどのSNSを利用する人が、学生や若年層の間で増えてきています。
普段メールを使わない人の場合、新着メールの通知がうまく届かなかったり、通知がきていることに気づかなかったりと、安否確認への回答率が下がってしまう可能性があります。
ANPICは、災害発生時に安否確認の連絡を、メールだけでなくANPIC専用のアプリやLINEで通知することができます。
このため、普段メールを使わない人でもすばやく安否確認の連絡に気づき、慣れた操作で回答することが可能。回答率の向上に役立ちます。
ANPICに登録されている氏名やメールアドレスなどがLINE側のサーバに保存されることはなく、個人情報の取り扱いも安心です。
2大学と共同開発しているので教育機関に強い
ANPICは株式会社アバンセシステムが、静岡大学と静岡県立大学の2大学と共同で開発した安否確認システムです。
静岡県は南海トラフ巨大地震が発生する可能性が高い地域であることから、地域内での災害対策への取り組みに対しても産官学のこだわりなく積極的です。
さまざまな規模や業態の組織が各自で防災力をアップしていけるよう、操作方法はシンプル。
安否確認への返信は3ステップで完了できるなど、簡単で素早く回答できるようになっています。
大学や専門学校などの教育機関や民間企業、各種団体など、大小さまざまな組織が緊急連絡網の強化に活用しています。
利用料金が安価
画像出典:機能・価格│ANPIC公式
南海トラフ巨大地震への対策として多くの組織が利用できるよう、産学共同で開発されたシステムということもあって、利用料金は比較的安価となっています。
例えば、100名までの場合では初期設定費用50,000円・月額運用費5,510円ですが、1000名まででは初期設定費用150,000円・月額運用費21,375円となり、大人数の学生を抱えた大学のように規模の大きな組織では運用コストを抑えることが可能。
ANPICの機能としては、アプリ・LINE連携によるプッシュ通知、アンケート、送信状況の把握、管理者による代理入力、自動メール送信、個別の震度設定などが備わっています。
そのほか、既存の教務や人事システムとデータ連携できるため、メンテナンス作業の手間が省けるメリットもあります。
ANPICのデメリット
ANPICは操作が簡単で、利用料金も安価なシステムですが、詳細な設定をしていきたい組織にとっては使いづらい側面もあります。
特に、企業が災害時の情報収集・集約・判断などで必要とする以下の機能については、自社の運用に問題とならないか、事前によく確認しておきましょう。
・災害時の自動配信は地震発生時のみ。風水害は対象外
・メール配信を繰り返し行うリトライは手動で行う必要がある
・GPS機能による位置情報の取得はできない。管理者も確認できない
・家族の安否確認は限定的な設定で、任意に行う
・送信したメールの履歴はメール画面で30件までしか確認できない
・掲示板への書き込みは管理者しかできない。また投稿されたときの通知も出されないため、ユーザーが自力でアクセスして確認する必要がある
・メールアドレスの変更はユーザー自身で行えるが、所属や氏名が間違っていた場合、ユーザーが自力では変更できず、管理者に依頼する必要がある
特に、家族の安否確認については、ANPICの場合、原則として非公開となっています。
設定により一時的に家族がユーザーの安否を確認できるようにすることはできますが、あくまで任意の機能とされ、ユーザーと家族が相互に連絡をとりあうようなものでないことに注意が必要です。
また、GPS機能については、システムにそもそも備わっておらず、オプションでも設定することができませんし、掲示板への書き込みも管理者からの一斉連絡にしか使えません。
ユーザーがいまどこにいるのか、どのような状態になっているのかを共有する機能に乏しいといえ、災害時に全社を挙げて災害対応にあたらねばならないときに従業員の対応状況が把握できない事態になる可能性があります。
ANPICと比較した安否コールの強み・弱み
ここからは、ANPICと安否コールを比較し、災害時の対応に有効となる安否確認機能にどのような違いがあるかをみていきましょう。
安否コールの強み
安否コールは、グッドデザイン賞の受賞経験もある高い操作性をもちながら、東日本大震災での稼働実績もある実務的なシステムです。
気象災害でも自動配信される設計、IDやパスワード不要の簡易な登録、自由に書き込める掲示板など、すばやく確実な安否確認だけでなく、その後の災害対応に必要な情報共有もしっかりとできます。
地震以外の災害でも自動配信
安否コールには、災害発生時の最も確実な情報となる、気象庁から発信される電文を自動的に受信し、一斉送信する機能が標準で搭載されています。
地震では震度1から7まで、全国を188区分で細かく設定することが可能。また、津波や特別警報にも対応しています。
自動受信時は対象者にメールもしくはプッシュ通知で案内され、通知を受け取ったあとはURLや回答ボタンで安否の確認をとる流れとなります。いのちに関わるような緊急事態は突然起こるため、自動で受信から送信までできるこの機能は、企業にとって必須といえるでしょう。
なお、その他の気象情報や感染症の流行などの場合は、管理者が手動できめこまかく配信し、通知の冗長化を図ることもできます。
登録時にIDもパスワードも不要なのは安否コールだけ。安否コールでは初回の登録時に端末認証技術を使って端末とサーバを紐付けます。
このため、次回からその端末でアクセスすればIDやパスワードを使ったログインの必要ありません。端末認証は、なりすまし防止の観点から、金融機関でも採用されることが増えています。
社員数の多い組織では特に、登録時や運用時のトラブルを回避し回答率をアップさせるシステムを選びたいものです。
「安否確認システムの登録時に迷惑メールのフィルタに引っかかり登録できなかった」「登録内容を変更しようとしてIDとパスワードを忘れた」「安否確認の通知を受け取ったもののパスワードを忘れたため回答できなかった」などのトラブルに悩んでいる場合は、端末認証技術のシステムが有力な選択肢になります。
回答率が上がり情報共有もできる機能
安否コールの掲示板機能は、いつでもアクセスし、書き込みも閲覧も自由に行うことができます。
加えて、書き込み時の通知もプッシュで届けることが可能です。情報の見逃しを防ぎ、メール配信後の情報連絡・共有機能として活用でき、回答率のアップにもつながります。
災害が発生した後の状況は、ひとつとして同じものはありません。
自由に使える掲示板があると、一斉配信されたメールへの返信では書ききれないような詳細な情報を書き込んだり、画像を添付したりすることができます。
安否確認ができた後の災害対応に必要な現場の被災状況の把握や、従業員の対応状況などの情報共有に活用できるのです。
また、掲示板を対応グループごとに作成して情報共有すると、交代で対応にあたったり、応援にきたりした従業員が、掲示板に記載された情報を追いかけていくことで状況把握できるというメリットもあります。
そのほかにも、安否コールにはさまざまな機能が装備されています。
家族がいっしょに利用できる家族安否確認機能も標準で搭載。登録された人だけが閲覧できるしくみのため、平常時から活用できます。
さらにオプションでGPS機能もつけられ、安否の回答時に位置情報付きで情報が集約でき、すばやい対応につながります。
安否コールの弱み
ANPICと比較すると、安否コールは導入費用・運用費用ともに高額です。
ANPICは人数で区分されたシンプルな料金設定で、特に1000人を超えるような大規模の場合は安価となっています。
ただし、ANPICは人数によるプラン分けしかないため、本当に必要な機能が過不足なく備わっているかを検討した上でのコスト計算が必要です。
安否コールの場合、以下のように利用したい機能によって細かなプラン設定がなされているため、事業規模や必要とする機能を組み合わせて費用対効果の高いシステムを構築できる可能性があります。
対象 |
プラン名 |
月額費用 |
初期設定費用 |
小規模企業向け (~50名) |
ミニマム |
¥5,000~ |
¥80,000 |
ミニマム+ |
¥8,000~ |
||
中規模企業向け (100名~) |
スタート |
¥15,000~ |
¥105,000 |
ノーマル |
¥18,000~ |
||
ビジネス |
¥21,500~ |
||
大規模企業向け (システム連携) |
プロ |
¥30,000~ |
|
エキスパート |
¥40,000~ |
ANPICと安否コールはこんな企業におすすめ
ANPICと安否コールでは、それぞれ得意とする機能が異なります。
自社にとって必要な機能をよく検討し、適切な安否確認システムを選びましょう。
ANPICはこんな企業におすすめ
ANPICは次のような要望をもつ企業におすすめといえます。
・毎年大量に新入社員や異動する従業員があり、人事データと連携して一括登録したい
・シンプルな地震発生時の安否確認ができればよく、その他の情報共有は別システムを使う予定だ
・とにかく運用費を抑えたい
安否コールはこんな企業におすすめ
安否コールは、次のような要望をもつ企業におすすめといえます。
・登録や安否確認時の問い合わせをできるだけ減らしたい
・家族の安否確認も活用し、災害発生直後の従業員の不安を減らしたい
・掲示板機能や位置情報など、安否確認以外の情報共有機能も充実させて事業継続の実効性を高めたい
・事業規模に見合った価格と機能のバランスがよいプランを探している
ANPICと安否コールの比較まとめ
安否の情報をなんのために確認するのかをよく考えて比較検討しましょう。
安否確認は災害発生直後に一度送信して終わりではありません。
災害が起きた混乱の中でも的確な初動対応を行うため、全従業員が行う大切な情報共有の行動となる必要があります。
安否確認サービスの比較をする際は、安否確認後の情報共有や災害対応の判断に効果的なしくみがあるか、従業員の家族の安否や位置情報など多彩な情報共有手段があるか、操作性に問題がないかなどを意識して検討するとよいでしょう。
安否コールは無料で全部の機能を試すことができる「無料トライアル」が1カ月あります。
上手に活用し、実際に操作しながら自社にとって有効かを確認し、検討してください。
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