【安否確認システムを比較】エマージェンシーコール(インフォコム)と安否コール
2021/04/09.
安否確認システムは非常時の重大な場面で利用するシステムです。
災害が発生した中でも確実に機能し、的確に操作ができるシステムかをチェックし、自社に最適なサービスを選びましょう。
本記事では、「エマージェンシーコール」と「安否コール」の機能の特徴を比較しながら、企業が導入する際に気をつけたいポイントについて解説します。
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エマージェンシーコールの特徴
画像出典:エマージェンシーコール 公式サイト
エマージェンシーコールは、インフォコム株式会社が提供する安否確認サービス。
近年の大規模地震災害の先駆事例となった、阪神・淡路大震災での経験を踏まえて開発されたシステムで、運用実績が長いのが特徴です。
災害発生直後の混乱した中でも安否の回答率を高めるための機能が豊富で、多様な連絡手段や繰り返し連絡など、安否確認の機能をシンプルに追求したシステムです。
エマージェンシーコールのメリット
エマージェンシーコールの特長である、繰り返し発信、従業員の一括登録、柔軟な管理体制についてみていきましょう。
最大100回まで繰り返し発信
画像出典:エマージェンシーコール 公式サイト
エマージェンシーコールは、東日本大震災や熊本地震のような大規模地震で被災した場合でも従業員の安否確認が確実に行えるよう、回答率を高めるための機能が充実しています。
災害時には何の通信手段が使える状態か、起きてみないとわかりません。
そのため、エマージェンシーコールでは、インターネット系、電話系、メール系と3つの連絡手段の登録ができるようになっています。
スマートフォンやパソコンだけでなく、固定電話や携帯電話の音声でも安否確認の回答が可能。
1人あたりの連絡先は最大10件まで登録できます。
また、安否の回答やメッセージ確認の形跡があるまで繰り返し発信で、回答率を高めます。
繰り返し発信は最大100回まで設定することが可能です。
そのほか、家族向けの伝言サービスや再通報抑止機能、オプションで気象庁の地震・津波情報と連携して自動発信する機能などがあります。
大量の社員情報を一括登録できる
画像出典:エマージェンシーコール 公式サイト
災害はいつ発生するかわかりません。
確実に連絡できるようにするためには、日頃からの連絡先管理が重要です。
エマージェンシーコールは、従業員1人あたり最大10件まで連絡先を登録できることもあり、全体での連絡先管理は膨大になります。
そのため、大量の情報を簡単に登録できるシステムが用意されています。
また、登録時に起きやすい個人情報管理のトラブル防止にも配慮しています。
氏名と所属などの基本情報について、管理者が一覧表から一括登録したあと、電話番号や住所などの個人情報は従業員が各自で登録や変更ができるしくみになっています。
管理者が内容を閲覧できないようにする設定も可能です。
柔軟な管理体制の構築が可能
エマージェンシーコールでは、従業員の安否の回答結果を災害対応組織の立場にあわせた設定で確認できるようになっています。
災害対応チームや職場の所属長など、あらかじめ設定した権限に応じて安否回答の状況を確認できます。
条件抽出も可能となっており、出社可能者だけに絞って対応を検討するなど、リアルタイムでの判断にも活用できるでしょう。
管理者の人数に制限はなく、スマートフォンやパソコン、携帯画面からなど、いつでもどこでも確認が可能です。
エマージェンシーコールのデメリット
充実した連絡手段や安心の繰り返し発信は、一方で導入コストを高めるデメリットにつながります。
エマージェンシーコールは、初期費用が200,000円、月額利用料が100名まで40,000円。
音声回答はオプションで、さらに料金が上乗せされます。
また音声回答とFAX回答機能は、利用する際に別途追加料金が掛かるので注意が必要です。
安否確認の連絡は連絡手段毎に順番に配信されるので、別途料金が掛かるものは配信の順番を後ろにすることをおすすめします。
登録人数が多いとコストが膨れ上がるので、予算が限られている場合は要検討です。
もうひとつ安否確認システムの検討で注意しておきたいのは、回答結果の活用のしやすさです。
災害発生時の安否確認は、連絡がついたら終わりではありません。
回収した安否情報をいかにすばやく集計し、次の対応に活用するかが重要になります。
エマージェンシーコールでは管理者の権限に応じた回答結果の確認は可能ですが、その結果を踏まえた指示の連絡や、刻々と変化する現場の状況を共有しあうメッセージ機能などは装備されていません。
このため、普段活用する連絡ツールと連携して災害対応にあたるしくみを、別に構築しておく必要があります。
平常時の連絡手段が使えなくなると事業継続が困難になってしまいますから、大規模災害で被災しても稼働が可能となるよう強化して備えておきましょう。
エマージェンシーコールと比較した安否コールの強み・弱み
ここからは、エマージェンシーコールと比べながら安否コールの機能をみていきましょう。
安否コールは、導入しやすい価格設定、活用しやすい集計表、東日本大震災のときにも安定して稼働した送信システムが特長です。
安否コールの強み
安否コールは、いつどこで災害が発生してもデータの集約・活用が可能なクラウド型の安否確認システムです。
災害発生状況は気象庁のデータを自動受信し、サーバ内で高速解析して災害規模と地域を自動判別し、登録者へプッシュ通知で自動送信します。
送信基準や対象を細かく設定できるため、的確な対象に情報を届けることができます。
また、実際に発生した大規模災害時の情報発信もふまえ、操作しやすさを重視したUIデザインや回答結果の効果的な活用を意識した集計など、ユーザの使い勝手を追求した改良が続けられており、中小企業から大手上場企業まで、さまざまな規模で導入しやすいシステムです。
価格設定は、事業規模に応じて必要なサービスがパッケージ化されており、中小企業から大企業まで迷うことなくプランを選択できます。
料金が安い
安否コールは最小構成のプランでは、初期費用80,000円、月額5,000円と、導入や毎月の運用の負担が少ないのが特長。
従業員が100名のプランで比較しても、初期費用が105,000円、月額15,000と、運用コストを圧迫しません。
最大プランの大規模企業向けシステム連携プランでも、初期設定は105,000円とそのまま、月額も40,000円と、大規模になればなるほどコストを抑えることができます。
価格プランは企業の規模や用途にあわせて多彩な組み合わせが用意されています。
家族の情報共有や掲示板機能なども標準仕様になっているため、余分な費用の積み上げを抑えることが可能です。
対象 | プラン名 | 月額費用 | 初期設定費用 |
小規模企業向け (~50名) |
ミニマム ミニマム+ |
5,000円~ 8,000円~ |
80,000円 |
中規模企業向け (100名~) |
スタート ノーマル ビジネス |
15,000円~ 18,000円~ 21,000円~ |
100,000円 |
大規模企業向け (システム連携) |
プロ エキスパート |
30,000円~ 40,000円~ |
100,000円 |
安否コールには、すべてのプランについて、全機能を無制限で1ヶ月利用できる「無料トライアル」が用意されています。
「対策はしたいけど費用は抑えたい」という企業が試しやすい安否確認システムです。
自動配信機能を標準で搭載
安否コールには、災害時に気象庁から発信される電文を自動的に受信して、一斉送信する機能が標準で搭載されています。
自動配信は地震と津波に対応し、震度は1から7まで、対象エリアは全国188区分と細かく設定できます。
災害が発生すると、気象庁が発信した電文を自動的にシステムが受信します。
受信した災害情報が配信基準以上となるかを自動判別するのは独立したサーバで、メール配信への負荷をかけず高速送信が可能です。
メール配信サーバは、1分間に100万通の処理ができる高速配信機能をもつため、災害時の通信規制などのつながりにくい状況であっても安否確認メールが届きやすくなっています。
また、安否確認の返信についても、毎分100万件のアクセスに耐えられる負荷分散を行っており、着実な集計によって災害対応の判断がすばやく行えるようになります。
メールアドレスは1人あたり3つまで登録できるため、複数の通信手段を確保することが可能です。
掲示板・GPSなどの便利機能が豊富
災害対応は被害の発生箇所や発生状況など、ひとつとして同じものはなく、影響が及ぶ範囲もさまざまです。
安否の確認がとれた後の対応は、状況に応じて臨機応変の判断や指示が出せるよう、柔軟な情報共有ツールが必要です。
安否コールでは、掲示板活用をおすすめしています。
グループ掲示板を作成して現場からの状況を詳しく報告しあい、情報共有や指示・要請などの連絡をリアルタイムで掲示しておくことにより、交代しながら災害対応にあたるメンバーがいつでも時系列で状況の変化を追いかけ、連携して対応することができます。
拠点と本部とをつなぐなど、グループ間の連携も可能です。
また、安否コールはGPS機能を追加搭載して位置情報を送り合うことも可能です。
誰がどこで何をしているか、ひと目で状況把握が可能となり、対応判断のスピードが上がります。
GPS機能をオプションでつけておくと、家族の安否確認機能と位置情報をあわせて活用することもできます。
災害対応中の従業員にとって、離れたところで家族がどのような状況にあるかは大変気がかりなもの。
家族か無事かどうか、どこにいるかをリアルタイムで把握することで、安心して業務に集中できます。
安否コールの弱み
安否コールがリリースされたのは2010年。
1995年から稼働しているエマージェンシーコールに比べると運用年数は短くなります。
ただし、リリースから1年後に発生した東日本大震災でも問題なく稼働し、10年以上の運用実績から常に最新の配信体制を改良し続けています。
もうひとつ安否コールにないものは、広範囲に多角化されたソリューション提供です。
エマージェンシーコールを運営するインフォコムでは、情報集約システムや防災グッズ、訓練支援・コンサルティング事業など、多角的な危機管理ソリューションを組み合わせていくことで、BCPの推進を展開する大規模な取り組みと親和性が高くなっています。
安否コールは、無理な取り組み規模の拡大はおすすめしません。
現場で実際に動けるかどうかを大切にしながらツールの提供を行っています。
災害対応で最も重要なのは発生直後の初動対応。
中小規模の企業や団体を含め、あらゆる規模の組織の活動が持続するために、安否確認および情報共有の機能に集中したソリューションを提供することで、導入しやすい価格、安定した稼働、操作しやすく活用に広がりができるUXデザインの改良を続けています。
エマージェンシーコールと安否コールはこんな企業におすすめ
エマージェンシーコールと安否コールでは、それぞれ得意とする機能が異なります。
自社にとってどの機能が必要かを洗い出し、適切に選びましょう。
エマージェンシーコールはこんな企業におすすめ
エマージェンシーコールは、次のような要望をもつ企業におすすめといえます。
・つながるまで繰り返し確認する機能がほしい
・日常業務において連絡形態が多様になっているため、連絡手段は多いほうがいい
・災害時の情報共有や連絡指示は別の方法があるため、安否確認に特化した機能がほしい
・BCP計画策定や訓練支援、備蓄整備など、危機管理全般のコンサルティングも頼みたい
安否コールはこんな企業におすすめ
安否コールは、次のような要望をもつ企業におすすめといえます。
・組織の規模に応じたプランで導入や運用のコストを抑えたい
・安否確認と連携した情報共有ツールや家族の安否確認などの機能を装備したい
・管理画面や端末の送受信など、誰でもすぐ扱えるようになるデザインのツールを使いたい
・近年の大規模災害で実際に稼働した実績のあるシステムを使いたい
エマージェンシーコールと安否コールの比較まとめ
安否確認システムは、災害が起きた混乱の中でも確実な情報を共有し、的確に初動対応を行えるようにするためのツールです。
安否確認サービスの比較をする際は、それぞれのもつ機能について、自社にあてはめたときに使い勝手がどう異なるかをチェックするだけでなく、集約した情報が活用しやすい機能があるか、継続して導入した場合の費用対効果が適切かなどを意識しながらチェックするとよいでしょう。
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